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カウンセリング@代々木上原・音楽療法・心理療法 GIM

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死の床での音楽療法

少し前、末期癌の初老の夫と奥さんへ行った音楽療法のプレゼンテーションを聞いた。
プレゼンの内容は、QOLの数値が音楽療法を行うことによってあがった、というものだった。
どうやってQOLの数値を出したのかその詳細は時間の関係か、説明されなかったが、
週一回音楽療法を行うことで、男性がそれを楽しみに・生きがいに日々を暮らせるようになった、奥さんとの会話が増えた、笑顔が増えた、ということだった。

音楽療法がなかったら起こらなかったであろう現象をひきおこすことができて、よかったな、と思う。

ただ、死を目前にしている人とのセッションで大事なことは、楽しいことを増やす、だけではない、というのをセラピストとして多くの人に知ってもらいたいと思う。笑顔だけでなく、怒りや悲しみをプロセスすることによりQOLを上げることが出来るのだ、というのを知って欲しいと思う。

死を目の前にしている人とその家族とのセッションでは、笑顔や会話が増えるだけでなく、
もしかしたら抱えている、人生で怒りそびれたこと、泣きそびれたこと を実行に移す機会を促す役割だって、同じくらい大事だと思う。

そういうと、多くのお医者さんに それは困る、と言われる。
患者さんを怒らせたり、泣かせないでほしい、と。
でも、怒ったり、泣いたりするのは、笑うのと同じくらい大事な感情。
人間が生きていくうえでは、決して排除することが出来ない、人生を豊かにする要素である。

砂糖の味しか知らない、あるいは楽しめないひとよりは、
苦味や辛味も楽しめる、そのウマさを知っているほうが、
食の喜び、幅は、広がるのと同じ。

自分自身が気づいていない、自分自身が怒ったり悲嘆にくれることに対する拒否反応をもって、患者さんも、自分と同じように怒ったり、悲しんだりするのは避けたいと思っているはず、と自動的に想定するのは、セラピストの行うことではない。

患者さんにしっかりと寄り添っていると、患者さんの心のニーズはおのずと伝わってくる。非言語的に、あるいは言語を通して。怒りや悲しみには触れたくない、まだ触れるだけの準備ができていない、と思っている人もいるし、怖いけれど、でも死ぬ前にそういう気持ちも溶かしたい、と意識的に・無意識的に願っている患者さんもいる。

死や病気を目の前にしてのセッションは、明るいもののみを探しがちになっている人もいるのだが、
それは、セラピスト自身が求めてしまっているのか、それとも、それが患者さんの本当のニーズなのか、
そこのところをしっかりと捕らえるために真摯に患者さんによりそうことっで、一歩踏み込んだ患者さんやその家族との関係を構築し、非常に意味深いセッションを重ねていくことで、死、という「点」でなく、個のスピリット・命・肉体の「変容」の過程を、その人らしく、その家族らしくたどるサポートが出来るのだと思う。
by totoatsuko | 2009-05-24 22:58 | Comments(2)
Commented by しんや at 2009-06-02 10:26 x
GREEからきました。喜怒哀楽。そういやそうなんだけれども、なんか、目からうろこのようでもありました。
Commented by totoatsuko at 2009-06-05 23:20
共感してくださってありがとうございます。
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音楽療法士(GIM)のつれづれ


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