shadowを見据えて

オランダは、歴史的にロシア、ドイツなどに囲まれていたので、政治的にうまく立ち回らないと独立国として生き残れなかったという背景があるので、とても合理主義なのだそうだ。
オランダでは麻薬が合法化されている、というのはよく知られている話。
そして売春も、合法化されている。
よって、麻薬は医師の処方箋があれば簡単に誰でも手に入れることが出来るが、
一方で、どこに住む誰がどういう麻薬を使っているか、誰が中毒者なのか政府が把握できる、という仕組みだ。
売春も同じ。売春婦を不当に扱うことを避けることができるし、どの売春婦がどういう病気をもっているか、というのも政府が知ることが出来る。
麻薬とか売春とか、日本では話題にするのもはばかる空気だし、そういう世界で実際どういうことが起こっているか把握している人は少ない。いわゆる、shadow- 社会の影の部分。
日本では、何か大きな事件が起きない限り、そこにスポットライトが当たり、論議を提起することはない。
オランダは、事件云々以前に、そこにあえて光をあてて、暗闇を太陽のもとにさらし、現実に対応しようとする。見てみぬふりはしない。あっても見なかったことにもしない。
そこで、質問。
オランダは川がとても多い国で、子供が川に落ちて死んでしまう事件が多発しました。
国は、どういう対策をとったでしょう?
私のGuessは、ネットを張って落ちないようにした?
でしたが、ブブー
正解は、全ての子供に服を着たまま遊泳出来るようになる教育プログラムを作った
でした。
さすが、合理主義・オランダ。
川、という時として危険な存在を、危険でないものに変えようとする、すくなくとも危険には見えないような細工をする、という無駄な抵抗はやめて、川のありのままの姿を受け入れる。
川(shadow)はそこにある。それと共存するには、どうするか考える、共存するための手段を習得する。
人間、なかなかshoadow aspectをきちんと見据えて、
そのために「自分が」何ができるか、「自分が」どう変わりたいか、取り組めない。
痛みを伴うから。
shadowを見るのはいつだって・誰だって 楽しいものではない場合が多いから。
でも、気休めに川にネットをはって、転落事故を防いだ気になるよりは
転落はしょうがない、川がいっぱいあるんだから -
なら、自分達が、落ちたときに自分を自分で助けることが出来る様になろう、
そういう対応が、他の場面でもできるといいな、と思った。
それは、サイコセラピーのプロセスでも行なうこと。
自分のshadow (ほとんどの人は、その存在や実態を知らない。心のどこかで知っているにしても極力関わらないようにしている)ーどろどろしていて、下手に関わると自分自身が飲まれてしまうようなもの を専門家のサポートを受けながら 知っていく・互いを肯定しながら共存していく術をみつけていくプロセス。