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緩和ケア

日本でも「緩和ケア」に注目が集まり始めている。
「緩和ケア」という単語が耳に目につくようになった。
でも、その実態はどうなのだろうか?

某有名大学病院でのある個人体験をうかがった。

その病院の緩和ケアチームは立ち上がったばかりで、各科の専門医が集まってチームが出来ている。癌患者の家族が、「緩和ケアのサービス」があるなら受けたい、と意志を伝えたところ、緩和ケアチームの医師が問診に来て、痛みを和らげるための薬を処方してくれた。

で、数日後その患者を見舞いに行った家族は、患者が別人みたいな顔をしているのに驚いた。
患者は、「いままでずっとあなたがいると思って話しかけてたのよ」と言う。明らかに幻覚を見ていたわけだ。しかも、痛みはとれていないようだった。家族は、処方された薬の錠剤を持ち帰って、ネットで調べてみたら、抗鬱剤のもっとも強いタイプのものだというのを知り、主治医にこの薬は強すぎるようなので止めさせたいのですが、というと、どうぞ、とすんなり合意した。主治医チームと緩和ケアチームの連携もうまく取れていないようだった。患者や患者の家族にも、「緩和ケア」のために処方された薬の情報を十分に説明出来ていないようだった。

日本での「緩和ケア」というのは、あくまで「薬」で「症状」を緩和 -和らげる? アプローチなのか?音楽療法や芸術療法ならば、幻覚や幻聴・めまいや食欲への副作用なく、緩和ケアに関わることが出来るのだが、そんな可能性は信じられないのか。

患者の痛みは、これからどうなってしまうのだろう、自分は死ぬんだろうか?死ななくても、また何年後かに再発して同じ治療の苦しみを体験しなくてはならないのだろうか、などという不安や悲哀・病に対する怒りも加担していることがよくある。

膿のようにわだかまっている感情を、セラピーという安全な場で開放することにより、循環がよくなり、病や生きることに対する気持ちの色合いも変わり、痛みの感じ方も変わる。誰にでも出来る作業ではない。家族や友達でも決して出来ないプロフェッショナルな関わりとプロセス。医療費だって薬剤費だって軽減出来る、このような代替医療を日本の医療界に広めることは出来ないのだろうか。

そして、その患者さんの家族と話して話題になったのは、
患者さんの家族をサポートするシステムも必要だという事。

不安なのは、悲しいのは、この先どうなってしまうんだろう、と思っているのは、患者だけではない。家族のケアまで病院が面倒を見なくてはいけないのか?当然今の日本の医療では「そんなの無理」という人が多いだろう。 でも、じゃぁ家族は誰に支えてもらえば、誰に助けをもらえばいいのか?精神科医?

家族は、抗鬱剤や精神安定剤や睡眠導入剤が欲しいのではない。
受け止めてもらいたいのだ、大切な誰かを失いそうな今感じている恐怖を、悲しみを、うろたえを。患者の前では決して見せない感情を。

NYの癌センターは、階ごとに癌の種類が別れていて、この階は脳腫瘍、この階は骨の癌、という風になっていた。そして、毎週フロアーで集まる自由参加の音楽療法グループをやっていて、そこに患者やその家族・友人が参加する。

同じ癌を患っている人達だから、不安も痛みも共通点が多い。
セッションの中で、そういう話を分かち合う。そして励ましあう。
グループのメンバーによっては死についてだって話せる回もある。
そして、家族同士も顔見知りになり励ましあう。

日本の病院でも将来そんなことが実現できるといいな。
心のケアも含めた「家族と患者さんのための緩和ケア」
by totoatsuko | 2008-06-04 22:45 | Comments(0)
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音楽療法士(GIM)のつれづれ


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