浮遊
都会の夜が始まろうとしている
そんなにおいのする街を一人で歩く。
こんな時間は滅多にない。
空を仰ぐごとに、その色は濃くなってゆき、オフィス街の無数の窓が際立ってくる。
どこにも属さない自分を感じる。
娘でも、母でも、妻でも、セラピストでもない私は、存在の意味を持たず浮遊する。
ただ浮遊する。
誰も私を待っていないし、私も誰かを待っていない。
時間の制限も場所の壁もない。
不思議な感覚。
日常の対極。
何にも属さないことによる、体の軽さと不安定さ。
存在意味がないことによる、自分の透明感。
道行く人は、誰も私を知らない。
だからこそ誰にでもなれそうな錯覚。
やがて夜は深まっていき、日が昇る前にそっと日常に滑り込む。
家族の寝息。
浮遊していた私の体は、もう既に日常の匂いを吸い込みしっかりと重みを持っている。
子供が眠ったまま私の気配を感じて体をすり寄せてくる。
窓の外が明るくなってきた。
そんなにおいのする街を一人で歩く。
こんな時間は滅多にない。
空を仰ぐごとに、その色は濃くなってゆき、オフィス街の無数の窓が際立ってくる。
どこにも属さない自分を感じる。
娘でも、母でも、妻でも、セラピストでもない私は、存在の意味を持たず浮遊する。
ただ浮遊する。
誰も私を待っていないし、私も誰かを待っていない。
時間の制限も場所の壁もない。
不思議な感覚。
日常の対極。
何にも属さないことによる、体の軽さと不安定さ。
存在意味がないことによる、自分の透明感。
道行く人は、誰も私を知らない。
だからこそ誰にでもなれそうな錯覚。
やがて夜は深まっていき、日が昇る前にそっと日常に滑り込む。
家族の寝息。
浮遊していた私の体は、もう既に日常の匂いを吸い込みしっかりと重みを持っている。
子供が眠ったまま私の気配を感じて体をすり寄せてくる。
窓の外が明るくなってきた。
by totoatsuko
| 2008-04-29 01:08
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