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精神安定剤

精神安定剤_d0065558_2230597.jpgある人が、
「子供って精神安定剤、いらないでしょ。
おかぁさーーん、って泣いて駆け寄ってきたのをぎゅぅっと抱きしめてあげていれば
次第に嗚咽がゆるやかになり、泣き止んで、
また社会の中へ駆け出していく。」
と言った表現が心に残っている。

赤ちゃんって、自分と母親(おっぱいをくれる人)が異なる人間だ、という認識が芽生えていない。一方で、自分の手足も自分が意思を持って動かせる自分の物、という認識もない。
自分自身も混沌だし、自分以外のものとの境界線がすごくあやふや・というか無いに等しい。

赤ちゃんが数年成長した子供も、大人と比べれば境界線・boundaryーバウンダリーははっきりしていない。例えば、友達(という概念すらあやふや)が持っているものが欲しかったら、相手のバウンダリーを無視してぶんどったりしてしまう。

大人同士だったら、そういうやり方は明らかにルール違反と分かっている。
お互いの境界線を尊重したやり方は、例えば相手に相手が持っているものはステキだと伝え、貸してもらえるか・あるいはどこで購入できるか尋ねる。尋ねる時も、相手が何かやっている最中ではなく、邪魔にならない時を見計らって声をかける・

相手の空間や時間、テンポというバウンダリーを尊重しながら
自分の思いを伝え、相手の思いを受け止めるやりかた。

話を元に戻すと、
バウンダリーがはっきりしない子供(ここでは幼稚園以下をイメージして書いています)は常に精神不安定である。
それは病気ではなくて、子供特有のもの。
ちょっとしたことで最高にハッピーになって、最悪に落ち込む。
傷つきやすいけど、立ち直るのもはやい。
それだけ心が柔らかでスポンジのように全てを吸収しすぐ吐き出せる。

お母さんの腕の中(子宮内に戻る疑似体験?)に収まることによって、
お母さんの声や体の鼓動・波動・温度・柔らかさから自分に必要なエネルギーを吸収したら
最悪な事件からも立ち直れる。
理屈で「-な風に考えたら?」とかアドバイスする必要はない。
Non-verbalで包括的に効く副作用のない精神安定剤。

人間が成長しバウンダリーという意識が生まれるにつれ、お母さん(あるいは自分以外の他者)は無条件に自分の心に安定をもたらしてくれる人間ではなくなってくる。お母さんに対する見栄だったり、色々な理由で。それで、自分の心をケアする手立てを見つけられたらいいのだけれど、生きていると色んなことがあって、トラウマ的な体験(それは事件のような物だけでなく、低温やけどのように緩やかだけど継続的に確実に奥深くまで細胞を壊す出来事の積み重ねであったりもする)をするとPTSD(Post Traumatic Disorder)なども含む、心の不安定が生まれたときに、どうしたらいいか分からなくなってしまうのだ。

そこで、抗鬱剤・睡眠導入剤 という人間的な利害関係がなく作用してくれる薬をいただく。
バウンダリーを持った大人同士では、どんなに親しい相手でも、自分を子宮の中に取り込むような傷の手当てはできないし、自分も全てをなげうって子宮に戻ることは出来ない。(いや、自分は出来る、と思う人はバウンダリーやセルフイメージがきちんと認識されていないると思う。)

乳幼児期に家族から精神安定剤を受け取ったことがない人は、
大きくなって自分を慰め・励ますことがうまくいかなくなったとき、
自分の自分で自分を支える事が出来る、って思えないかもしれない。
化学調合物しか、自分のものでないような自分の思うように行かない心をコントロールすることはできない、と。
by totoatsuko | 2008-04-21 22:03 | Comments(0)
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音楽療法士(GIM)のつれづれ


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