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DV法 2回目の改正 II

2006年12月に、DV法で妻や子供の連絡先などを知ることが出来なくなった加害者である夫は、探偵を使って妻の新居を突き止め子供の前で刺し殺した事件があった。動機のひとつに、「DV法に不満で、妻を殺せば法が変わると思った、」というのがあったらしい。

柴田秀樹裁判長は「DV防止法への挑戦で社会に与えた影響は大きいが、反省の気持ちも持ち始めている」などとして、求刑通り無期懲役とした1審・徳島地裁判決を破棄、懲役30年を言い渡した。判決で、柴田裁判長は「遺族が厳しい処罰感情を抱くことは理解できるが、性格や人格のゆがみを矯正するのが困難とまではいえない」と述べた。

以前も心以外の専門家が、人の心に少しでも関わり判断を下すのなら、心についても本気で学んで欲しい、という投稿を書いたけれど、この裁判長のコメントを読んだ時、また同じ事を思った。

DVは、性格や人格だけの問題ではないし、性格や人格はそう簡単に矯正できるものではない。
だって、そうでしょう?
例えば、DVを行なうほど偏っていない自分を、DVをしないと生きていけない性格に矯正する -その考え方がそもそもバカからしい、と思って矯正に取り組もうとしないし、
それゆえに自分自身の力では、自分が加害者になるよう変化するなんて絶対出来ないし、
たとえ専門家のヘルプによって考え方を変えるにしても、物凄い年月とエネルギーが必要なのが想像できるのと同じ。

DVの加害者の心理や生き方は、程度がどうであれ、そう簡単には変わらない。

DV法の改正を考慮した方たちは、どんな専門家たちだったのか分からない。
でも、とてもとてもこの改正が被害者・加害者、両方のためになるもの、現実的なものなのかは、十分ではない印象をうけたのでした。
滅多に行なわない改正なのだから、もう少し実のある内容になって欲しかったです。

ただ、法律がよければDVがなくなるとは思わない。
DVの加害者・被害者予備軍は、家庭で次々と成育され世代を超えて継承さていくもの。DVの心の構造は子供のときから時間をかけてみっちりと育まれる。ここら辺を認識している法の専門家や教育者は少ないと思うのだけど、予防という点では凄く大事な点。

私は音楽心理療法やカウンセリングのセッションの問い合わせを受身で待つしか、残念だけどそういう方(加害者や被害者)たちのために何かをすることが出来ない。DV関連のグループやNPOもあるけれど、なかなか「あなたDVでしょ、ウチに来て更生のプロセス一緒にやりましょ」そこの人達がサポートプロセス連れていく訳にも行かない。

どうしたらいいのでしょう?
警察に通報するのはよく知られた方法の一つですが、逮捕とか有罪判決だけではこの行為、このゆがんだ関係、心の状態・DV加害者・被害者の数は絶対に変わらない。

DVの加害者・被害者の近くにいる人が、その行為を責めたり恥とみなして隠すのではなく、カウンセリングなりサポートグループ・施設なりに問い合わせる事を勧めてあげることが大事で実行可能で、かつ当事者たちを救うプロセスを始める要素の一つなのではないか、そう思いました。
by totoatsuko | 2008-01-16 10:35 | Comments(0)
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音楽療法士(GIM)のつれづれ


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