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あなたは何をしてきた人ですか?

80歳位のご婦人と話をしていて
「息子が あなたは何をしてきた人ですか? ってこの間聞くんよ。最近読んだ本にそういうくだりがあったんだって。
何をしてきたかってねぇ、子供を5人産んで育てた。それだけよー、って言うたら
いい人生だねぇ、
って言うんよ。でもほんと いい人生だった、って思ったんよ。
男の人は出来ないからね、子供を産むのって。
あの頃(小さい子供を訳が分からないまま必死で育てていた頃)はほんと輝いてた。
5人がひとりひとり 全然ちがうんよ。おもしろいねー。」

と柔らかな笑みをたたえておっしゃる。

自分が子供を産む前だったら、
でも悲しくない?子育てに人生の半分を捧げるなんて。
子供を産み育てるために女性は生まれてきたわけじゃない。

と反応したと思うのだけど、
先日は妙に彼女の言葉に共感できた。
人間を育てるプロジェクトって、自分がやり始めて初めて大変さとか喜びとかを実際できた。
これをやっていない人に理解しなさい、少子化に歯止めをかける為に子供を産みなさい、って言っても、全然心に届かないのは当然だと思う。少なくとも、私は子供を育てることが自分の専門を極めることと同じくらい、あるいはそれ以上の喜びや充足感を自分の人生にもたらしてくれる物とは全く考えられなかった。

子供を産み・育てるプロジェクトって、
社会的な組織に高い評価を得るのが目的ではないし、
金銭的余裕をもたらすものではないし(むしろお金はかかる・しかもこの時代膨大に)
直接自分が社会にインパクトを与える事もできない。(子供を通じてそれは起こるかも知れないけど、それは自分のコントロールの範疇外)

何かの書類に 職業欄があったら、
主婦
としか書けない自分だったら気がひけるのは私だけではないだとうと思う。

だけど、あなたは何をしてきた人ですか?と問われて
子供を育てました。
というのは
XXプロジェクトを成し遂げました、
OO会社の部長になりました、
というのと全く引けを取らないことだ・とこのたび「頭では」実感。
(私の心はそれにまだついていっていない印象だけど)

短期間に結果が出るものではないし、自分が社会的な評価を直接受けないから、子供を産み育てるお母さん自身も、その人の周りにいる人も、そのプロジェクトの難しさ、重要度、価値を感じにくい。けれど改めて、80才のご婦人と話をして、いろいろ考えさせられたのでした。

日曜は死生学学会
テーマ:子供の生命に向き合う -子供と我々の未来を語るために
にちょっと顔を出してきました。

追って、感じたものを皆さんにシェアしていきたいと思います。
by totoatsuko | 2007-12-13 11:06 | Comments(5)
Commented by mino at 2007-12-21 12:47 x
愛枝です。
この記事を拝見して、とても驚きました。母はまだ50歳を過ぎたところですが、いつも、自分の人生で何をしましたかって聞かれたら、私(娘)を育てましたって答えるって言っています。幼い頃から貧困の底を生き抜いて、役職/肩書きのある仕事もして、それを辞めた今も現役で仕事をしている彼女ですが、それでも何も迷わずそう答えるそうです。
私はどちらかというとtotoatsukoさんとは逆の感覚が強く、子育てをせずに一生を終えた人でもその人なりに成し遂げたことがあるのだからいいのだと頭で理解し始めたところです。人の感覚っておもしろいものですね。
Commented by totoatsuko at 2007-12-23 22:18
違う感覚もってますよー、とここでシェアしてもらえるのって、嬉しいです。そうそう・あなたの言ってる事、よく分かるわー、という人の集まりだけだとつまらない。(お互いを攻撃しあうのは嫌ですけど。)色んな考え方・生き方があるべきだと思っています。

この80代のご婦人は、社会に出たことがなくずっと主婦としてやってきても、社会経験がない、という事に対してことさら劣等感みたいなものを感じていない。そのことが新鮮でした。
自分がもしかしたら社会的にも認められる活動が子育ての傍らできたかもしれない、という可能性をその方は考えたことがあるのかどうか分からないのですが。以前の私はどちらか一つだと満たされないだろうなぁ、と漠然と思っていたのでした。
Commented by mino at 2007-12-24 16:04 x
なるほど・・・80代というと、ちょうど私の二人の祖母と同じ年です。そう思ってみると、そのご婦人の生き抜いてきた時代、その時代の文化も考え方や生き方に影響しているのかなぁとふと感じます。戦後、経済成長を支えるその中で、次世代を担う子どもたちを世に送り出すことはそれはそれで立派な社会への貢献であるという意識が今よりも強かったんじゃないかなぁと漠然と思います。女性にとっての社会的役割として、子育て、家を守る、ということに重きが置かれていて、女性のほうも圧迫されていると感じつつどこかでそれを誇りに思う風潮が今よりも強くあったんじゃないかなあ、と。
歴史にたらればはご法度ですが、同じご婦人がもし今の時代を生き抜いていたら、また違った価値感がきっとそのご婦人の中にも生まれますものね。
「主婦」というステータスの持つ意味が社会の中でどうあるか、それに左右されるところもあるのかなぁというコメントでした。
Commented by totoatsuko at 2007-12-27 09:17
そう、自分が生きている時代や社会の価値観や視点によって、自分のそれも影響される。今80歳の人が子育てしていた時代と今の時代では、それはもう色んな考え方・捉え方が変わってる。わたし達は常に進化し、だから進化し続ける社会を時代を作っていける。
だけど、思うのです。時代や社会を作る・ついていくだけではなく、そういう物とは関係なく、自分にとって価値あるものは堂々と大事に出来る心を持ちたいと。仮に時代が環境が主婦や子供を持たない女性をあまり評価しなくとも、自分の在り方・その選択・あるいは運命のいたずらの結果に胸がはれたら、と。
Commented by mino at 2007-12-30 23:59 x
私は、このあたりは少し違う価値観を持っているのか、自分の絶対的な価値観があるとしても、それすら社会や時代と無関係とは思えないところがあります。私の場合、思考するときの使用言語がが日本語である以上、その影響を受けると感じますし、根本的なところで広く捉えた意味の「文化」から切り離されて、「私」として存在することはできないように思っています。「私」の中には価値観も含まれます。時代に流されて生きるというよりは、私と環境との相互作用を大切にしたいなぁと思う気持ちが強いのかなと思います。
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