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それは"あなたにとって”どんな絵なのか?

クライアントが、ある絵をみた時、それが すーーっと印象的に自分の中に入ってきて、
絵が自分の心の状態とまさにシンクした体験を話ししてくれた。

それはどんな絵なのか聞かせて欲しいと言うと、絵葉書を持っているから実物をおみせ出来ます、といわれたのだけど、その葉書をポケットから出す前に、「自分の言葉で」その絵を語ってほしい、とお願いした。

セラピーのプロセスでは、私がその絵をみて私がその絵に何を感じるのか、あるいは、クライアントが見た絵を実際見て、クライアントの絵との体験を、私の主観で想像・仮定・分析するのではなくて、クライアントにとって、その体験は何だったのか、一緒に掘り下げていくことに意味がある。

同じ絵をみても、同じ音を聞いても、同じものを食べても、人によって全く違う体験をする。
1枚の絵の第一印象が、これほど悲しい色合いはない、と思う人もいれば、これほど斬新なアングルはない、と思うひともいる。視点が違う、感じるところが違うのだ。人の生き方が、感性が一人一人全く違うのと同じ。


クライアントがどんな形容詞を使いどんな表情と身振りとエネルギーをもってその絵を語るのか、感覚を研ぎ澄ませて聞いていると、クライアントの体験を少しだけ追体験できる、クライアントの心の状態に少しだけ近づくことが出来る。

また、クライアントも、言葉に出来ない体験を言葉にしようと試みることにより、その体験をもういちどなぞり直して、自分の心を理解するてがかりを見つけていく。私は随所 随所で質問することにより、クライアントがその体験をかみ砕いていく手助けをする。その絵について、即興演奏するのも、絵との体験を掘り下げるのに有効だ。


絵と、絵との体験をかみくだいた後に一緒に絵葉書をみる。クライアントが言った言葉・奏でた音を思い出しながら。もしかしたら、あの時絵から感じたシンクロニシティーは数日たったこの時には全く感じないかもしれない。心は常に変化しているからそんな事は当たり前に起こる。それでもいい -その違いは何なのか探る材料にもなりうるから。

セラピープロセスの中で重要なのは、「自分」がそれをどう感じたか、ということ。
専門家の説明文とか、世間一般の評価や話の聞き手の主観は、個人的な体験をかみ砕いていく時には必要ない。実物をみせるよりも、自分のやり方で伝える努力をしたほうが、自分の体験をよりリアリティーと正確さをもって、相手にも、自分に対しても再現して見せることができ、個人的体験を自分理解のための素材として有効に使うことが出来る。
by totoatsuko | 2007-03-21 00:44 | Comments(0)
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音楽療法士(GIM)のつれづれ


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