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カウンセリング@代々木上原・ユング ベース 心理療法

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治療をあきらめない

これも、同じ小児科の先生から伺った話。

「アメリカと比べて、日本は治療をあきらめない、さいごまでやってみれる土壌がある。アメリカでは死んでしまった人でも、日本の医療環境にいれば治癒させることが出来たかもしれない、というケースが沢山ある。」とのこと。

アメリカは、保険は個人が民間の保険会社と契約しないといけないので、医療費をじゃぶじゃぶ使えないのだ。保険会社、保険プランによって、支払ってくれる医療費の範囲が違うし、保険会社はなるべく過剰に支払わなくてもいいように、治療プランを厳しくチェックする。

病院は病院で、ちゃんとビジネスとして成り立たないといけないから、病院(入院)でしかできない必要最低限の治療だけをして、家に帰らせる。それによって、沢山お金を使ってくれる患者さんをより多く診れるわけだ。

書いているうちに、アメリカ医療事情へと脱線しそうになっているので、ハーバードの公衆衛生の大学院で学んだ友人のブログにバトンタッチ。


話を元に戻すと、
アメリカでは、例えば80%治らない、と判断されたら、治療を打ち切る事を本人・家族に勧める。治る見込みの低い患者を診ない(切り捨てる)事によって、治る確率が高い患者に時間が割ける、というロジック。

また、一人当たりの医者が担当する患者の人数が、アメリカと比べて日本は信じられないくらいに多いので、日本の医者は超・忙しいのだそうだ。

わずかな望みにかけて治療を受け続けられること。
それは、患者が望んでいれば、ほんとうにありがたいだろう。闘病して、最後まで頑張りたいと思う人にとっては。お医者さんも、最後まで全力で応援してくれる、治療してくれる、という態度だと、なんと心強いことか。話を聞いていてそう思った。

反面、そんなわずかな望みにかけてまで、辛い闘病をすることが100%患者とその家族にとっていい選択とは限らないとも思う。過去の投稿で書いたけれど、あるお医者さんが、
「私は、病の人を助けたくて医者になりました。でも医者になって気付いたんです。人間は必ず死ぬ。それを医者が止めることは出来ない、と。」


もし、自分にとって大事な人や自分が重い病にかかったとき、私はどんな医療を望むのだろう?冒頭のお医者さんの言葉は、私にそう考えさせた。

大事な人に少しでも生きていてもらいたい、あるいは、もう少しこの世界に留まって大事な人と時間を費やしたい、そう思って、わずかな望みをかけて生きるために積極的な医療介入を望むのか、病と共生し共に歩き時がきたら病と一緒に旅立つことを望むのか?
by totoatsuko | 2007-03-13 00:08 | Comments(2)
Commented by hiko at 2007-03-18 17:02 x
本日はごゴチソウサマでした。
いろいろ話を聞いてくださってありがとうございます。というか、狭い世界に入ってしる自分を日々感じてます。

ミュージックセラピーの話し読みました。
昔読んだ本、”悲しみから思い出へ”をおもいだして、
http://www.amazon.co.jp/%E6%82%B2%E3%81%97%E3%81%BF%E3%81%8B%E3%82%89%E6%80%9D%E3%81%84%E5%87%BA%E3%81%AB%E2%80%95%E5%A4%A7%E5%88%87%E3%81%AA%E4%BA%BA%E3%82%92%E4%BA%A1%E3%81%8F%E3%81%97%E3%81%9F%E5%BF%83%E3%81%AE%E7%97%9B%E3%81%BF%E3%82%92%E4%B9%97%E3%82%8A%E8%B6%8A%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB-%E3%82%B1%E3%82%A4-%E3%82%AE%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88/dp/4890416927/ref=sr_1_2/503-6429748-2916757?ie=UTF8&s=books&qid=1174204798&sr=8-2


特に自分の大事な人が無くなって、でも、自分の感情を表にだすことができない人にも力を与えることができどうだなと、思いました。

Commented by totoatsuko at 2007-03-20 22:23
先日はどうも。上記の本知りませんでしたが、喪失体験をした人の体験を感じるにはとても良さそうな一冊ですね。
誰かを失って、あるいは失いそうになって感じる喪失感の真っ只中での悲しみは本当に辛い。世界の色を塗り替えてしまうし、生きる意味もエネルギーも失ってしまう。そんなところから精神疾患を患ってしまう人もいるけれど、きっと悲しみは思い出になれる。もっと言えば、ただの思い出ではなく、その後の生きる理由だったり人生の目標や指針、強さや支えに転換しうるものだと信じています。
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音楽療法士(GIM)のつれづれ


by totoatsuko
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