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カウンセリング@代々木上原・音楽療法・心理療法 GIM

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関わり方

関わり方_d0065558_13502493.jpgピアノの腕をみがくために、ひいては音大に行くためにピアノをやっていた頃、
赤川次郎の本に出てくるプロのクラッシックミュージシャンが、本物を知ってしまったら中途半端な演奏を楽しめない、ある意味損である、という内容のセリフを言った。

言い換えれば、プロとして鍛えられた耳にとって、完成度のあまい演奏は聴くに耐えない、というのだが、当時の私は妙に納得した。(なんて貧しい音との関係だったことか!)精巧な織物をつむぐように、指のタッチひとつひとつに細心の注意を払い、理想の音を、そして音楽をその譜面から導き出すために、耳を神経を研ぎ澄ませる。どんなに緊張しても、どんな舞台でもどんな状態のピアノでも、自分の音楽を100%演奏しきるために、日々研鑽をつむ。

そんな風に音楽と、音と関わることを、そんな風な形のみで生涯関わってきた先生からレッスンを受けていれば、音楽との関わりかたは、こうでしかない、というか、他の形があるという発想すら持たなくなっていたのは、ある意味自然といえる。

しかし、音楽療法を学び始めてから、いかに自分と音楽の関係が一つの縛られた形でしかないか、ということを目の当たりにした。芸術的な美を表現するだけが音楽ではないことを学んだ。

そこに人間や自然の息吹や存在があれば、その音は、意味がある。
場合によっては、完成された芸術美とは比べることが出来ない 人間的な美しさが音を通して表現される。ひとつのため息からでも、深いメッセージや音楽的な美しさを感じ取ることが出来る。

わたし達は自分の経験を通して自分の価値観を築き、世界を作っていく。
しかし、自分一人では知ることの出来ない、体験する事の出来ない視点から見た世界観が、数え切れないほど存在する。

自分の限られた価値観に囚われて生きている人は多い。
啓蒙本で、考えの転換をする方法を提案するものが沢山出ているが、人間 本を読んだり、人に教えられたりして得た知識から、それまで生きてきた思考パターンを根本から変えるなんて、そう簡単に出来るものではない。(出来る人もいるかもしれないが)。

自分の心が何かのきっかけではっ と自分を制限している思考・行動パターンに気づき 取り組み始めたとき、自分の中の何かが変わる。そして、世界の色合いが、人との関係が、そして自分自身との関係が変化する。人生の楽しみ方も、もっと豊かになる。
by totoatsuko | 2006-10-24 21:24 | 日々感じたこと | Comments(1)
Commented by まいける at 2006-10-25 01:50 x
音楽って本当に多角的な性質を持っているもので
人によって音楽の在り方や存在が大きく違ってくる。

人はそんなものに魅了され
感動するんだろうね。
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音楽療法士(GIM)のつれづれ


by totoatsuko
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