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カウンセリング@代々木上原・音楽療法・心理療法 GIM

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多田 房代さんの講演

ドイツで活躍されている多田 房代さんの講演@学会では、涙しました。

症例を3つ、オーディオテープやビデオテープを使って紹介してくれました。
そこには、血が通っていました。喜びも、悲しみも、怒りも、最悪の状態も、包みこみ、存在を認められ、人間である証である感情が生き生きと描かれていました。音楽が、生きていました。

厳しいお母さんに育てられた中年の女性がセッション始めた頃は、ナイーブな少女のような声を出していました。それが、どんどん声が自由になっていく。厳しい母親にNoと言ったことがなかった、いえなかった彼女の声に、強い意志が生まれていく。

自閉症や、他の病名をつけられている中年の男性は、時に破壊的で自虐的な行為を繰り返していたけれど、セッションを通して見つけた、自分の中の光を見つけ、幻覚で見ていた悪魔が消えていく。

小児麻痺で生まれてきて、言葉がうまく喋れない青年は、それまで言葉のボタンを押して「おなか減った」等の自分の欲求を伝えてきたけれど、自分がどう感じているか伝えるなんて事は出来なかった。ただ、「もうどうでもいいよ」というのだけが口癖だった。
でも、セッションを通して、「おかあさん、聞いてる?ぼくだよ。きいてる?」と、最近再婚するので忙しいお母さんに、語りかけ始める。セッションを始めて6年後、施設の都合で、セッションが打ち切られることが決まり、最後のセッションでは、休暇中の施設の責任者に向って、「どこいるの?僕たちはここを離れることはできない。なんとかして。」と、セッションを始めた頃よく言っていた「もうどうでもいいよ」という人生に対して投げやりな態度はなかった。

私は、彼らの何年にも渡るセッションの過程で起こった事のほんのひと場面から、私なりに彼らの心のプロセスを感じとり、涙がとまらなかった。ああ、ほんとうに大変な道のりを歩いてきたんですね。ほんとうに辛くて、悲しくて、許せなくて、どうしようもなかった時もあったでしょうね、でも、それが分かるから、あなたのそのひと言、声の重みを感じる。

また多田さんの語り方から、ボディーラングエッジから、セッションの映像に写っている彼女や彼女の声から、彼女が、クライアントとの一瞬一瞬に耳を研ぎすませ、体で、魂で、その存在と対峙しているのだと感じ、心を洗われた様な気持ちになりました。
by totoatsuko | 2006-08-28 14:00 | 日々感じたこと | Comments(1)
Commented at 2006-09-05 16:25 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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音楽療法士(GIM)のつれづれ


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