ゲド戦記

巷では、映画としての出来は酷評されている作品ですが、、、
映画評論は、そちらにまかせるとして、
個人的には、リング(指輪物語)と並ぶ、奥の深いファンタジーと感じました。
TVのCMなどでは、「命を大切に」、というメッセージが前面に押し出されているようだけど、
わたしは、少年アランの影が、影の本体について言った言葉がとても印象的だった。
「アランは不安な気持ちでいっぱいだったんだ。
次第に、心の中の闇がどんどん大きくなりすぎて、闇自体が光を求めて(アラン)の肉体を離れて独立した影になった(影という形を形成し、この世の闇を光を求めてさまよっている)」
そして、その影は、アラン自身を闇へひきづりこもうとする。
アランは、自分の影に振り回され、本当の自分は望んでいないことをやってしまったり、自分自身が自分自身(影)に殺されそうになる。
しかし影は、本当は望んでいた。
アランの心に均衡がもたらされ、自分の存在が消え去ることを。
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「光」 (それは、希望であったり、自信であったり、健康と言い換えられるかもしれない)を自分の外にみつけようとするのは、
それを闇そのものの様に感じる自分自身の内側のどこかでみつけようとするよりは、
一見理屈にかなっているし、簡単そうに思えるかもしれない。
でも、私は信じている。
本当の光は誰が与えてくれるものでも、どこかの洞窟の中に隠されているものではなく、
自分の闇の中にすでに存在していることを。
それを探し当てるのは、闇が深く凶暴であるほど、大変で、危険な道のりかもしれない。そうであることが多い。
でも、たった一回きりの人生、永遠に見つからない場所を探して旅するより、
あるいは、自分の光らしきものを手に入れて自分を騙して生きていくよりは、
本物の光 を覆っているなにかが潜む自分の内面に向ってみてはどうだろうか?

すごくグサッときましたね。
光があれば影がある。
影ができればそれが影だと見せる、光が必ずあるんだよね。