Smoke

夜と朝の間の静寂
ふとめがさめて ひとり暗闇にたたずむ
薄暗いあかりをつけて
昔よくきいていたレコードに針をのせると
部屋がsmokeでみたされていく
目をゆっくりとじると、あの場所へもどっていく
もう随分ながいあいだ行っていない
人のざわめき
視線
なつかしいにおい
なじみのウェイトレス
くろずんでつるつるしている傷だらけの木のカウンター
色んないろのおさけがはいった、いろんなかたちをしたグラスがぶつかり合う音
すこし悲しげな細長いトランペットの音にそいねする
触るとあたたかくて、ちょっと骨太で、あんしんする
ぬるいアクセントをきかせるピアノと
ぬくもりのあるシルバーの粒子をはなつドラムの音がはだにはりついてくる
ピアノの和音が半音でゆっくりと私をしたにつれていく
おりきったところで、トランペットがうえの方で歌いはじめる
そのあたたかい音がわたしの肩をつつみこむ
からだのちからを抜いて、身をまかせる
Smokeにつつまれる
誰にもみからない
どこにも属さない 夜中3時のからみ