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苦楽しい(くるたのしい)

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日本にユング派心理療法を確立させた河合隼雄氏の一般向けに書かれた本は、平坦な言葉で心理学の知識がなくてもさらっと読めると同時に、内容がちゃんとあります。何冊か持っている彼の本を、最近ぱらぱらと読み返しています。

父親の力、母親の力 (2009)講談社 の中で、
河合氏は、家族の一員として家族との日々をつくっていく時、「苦労するからすばらしい」という事を書いていて、作家の遠藤周作氏が対談したときに言われた「小説を書くのは苦楽しい」という言葉を引用しています。
”ほんとうに楽しいことを突き詰めていったら、必ず苦しみがつきまとうものです” と。

パートナーも、子どもも、親も、家族だけど、別の人格ですから自分の思い通りにはなりません。
(勘違いしてる人もいっぱいしますけど・・・)
他人が自分の思い通りに動かなくても、
まぁ他人だからしょうがない、と思うか、
関係を終わらせればすむことですが、

家族、特に、こども、となると、一時的に腹を立てて関係を切りたくなっても、なかなか、すぱっと切れるものではありません。
自分の所有物じゃない、と頭でわかっていても、感情的にはもどかしく心がかき乱されることもある。

だから、苦労する。

親も、子どもも、色々お互いぶつかりながら、
自分達の家族の歴史を作りながら、自分自身の人生も作っていっていかなくてはならない。

家族がぶつかる事を避けて避け続けて生きていったら、
必ずそのひずみは出てくる、虐待とか、積もり積もった怒りからくる暴力とか、反抗とか、、、様々な形で、
場合によっては取り返しがつかないような形で。

結婚したら、子どもが生まれたら、、、~したら幸せになれる、ってことはなくて、
むしろ、自分自身だって、自分の思い通りにならない事が沢山あり、心理的内的な葛藤を抱えているのに
自分以外にも関係を築いていく必要がある人が増える事は、さらなる苦労が増えると思います。

バラ色の幸せなんて、バラ色だけしかない幸せなんて、本当は存在しない。
そう夢みたい気持ちは持っていてもいいし、その夢想を楽しむのも自由だけれど。

悩んで試行錯誤して時にぶつかってやっている中で、
苦労することでしか得られない様々な色合いの経験や、
かけがえのない時間を積み重ねて人生を描いていく、幸せ感を実感していくのだと思います。

ただ、今の時代、表面的に、一時的に苦労を避けようと思ったらいくらでも手段があります。
嫌なら誰とも関係を作らない、結婚しない選択もあるし、子どもを作らない選択もある。
子どもの相手をするのがめんどくさければ、シッターさんを雇ったり、部屋に放置したりすればいいし、
躾も勉強も外注しようと思えばできる。パートナーとも、会話をしなくてもやり過ごせる関係にしたり、別離を選べばいい。
一昔前の自分の属しているコミュニティーからの自分の言動への批判や圧力なども、あまり気にせず生きていける社会になってもきています。

家族であろうと、価値観も生き方も違って当然です。
同じ屋根の下に長くくらそうが、同じ文化の中で生きてこようが、人はそれぞれ違ってくる。違うから面白い。
家族なのに自分としては納得できない家族の事に触れ、自分の中に生まれる感情と向き合いながら、
それぞれの家族メンバーと ”対話を続ける” 
そのプロセスに、家族になっていくことへの意味があると思います。

これまで日本の文化は、あ うん の呼吸、という言わなくても理解できる関係、だったり
夫唱婦随 というものを美化してきました。

しかし、価値観も生き方も多様化している現代では、
一人ひとりが 意図的に”対話をして行こう” という意思を持って家族と対話をし
意見が一致しないところにステイしながら、そのテンションを生きる、
その苦しさを楽しむ というスタンスで 真剣に家族と向かい合っていけたらいいのではないか、
家族というのは、そういう物ではないか、と思うのです。(自分が向かい合いたくても、相手は自分と同じようには向かい合えないかもしれないので、またそこが苦しい所だったりするのだと思いますが・・・)

ー勿論、自分を虐待する相手だったり、自分が身体的、心理的に危険な状態にさらされる関係を生きる事の苦しさ、とは違う話です!
そんな苦しさは、楽しもうと努力するべきではありません!!!

大好きな事、自分にとって大事なものを育んでいく過程でかならず付随する ”苦楽しい” プロセスを生きる心のキャパシティーや強さや柔軟さを、
大人になっていく過程で、あるいは、大人になってその事に気づいたら、その時からでも遅くない、
身につけていくと、生きる事、家族を持つという事、に対しての見方が変わってくるのではないかと思います。



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by totoatsuko | 2015-01-31 18:36 | Comments(0)
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