ひとりきままに美術館めぐり

何時までに帰らないといけない、家のことをしなくていけない、という気兼ねがなく、
自分の都合で時間の流れにのっかって過ごすことが出来る、というのは
いまの私にとってなんという贅沢。
東京都美術館 の マウリッツハイス美術館展 と ブリヂストン美術館での ドビュッシー 音楽と美術
都美術館の展示では、フェルメールとかレンブラントとかの17世紀あたりのものが中心。
その作品が好き、とか嫌い、とかいうよりも、その時代背景とか、その作品に向けられた作家の魂というか情熱というか、思いというか、そういうのを感じながら見ている自分が新鮮でした。
そして上野の森。
東京にもう何年もすんでいるけれど、1人でこんなにきままにぶらぶらと歩いたのは初めてでした。
木がいっぱいあって、生き物がいて、お寺やお稲荷さんもあって、、、いろんな人がいる。
すごくエネルギーとスピリチュアルな気に満ちた場所に感じて、歩いていて気持ちよかったです。
後者の展覧会では、ドビュッシーの視点から語られる、印象派の絵画やブロンズたち。
音楽と詩と絵画の関係。
ドビュッシーは、友人の画家や詩人、
そして彼らの作品からそんなにもインスピレーションをうけて曲をつくっていたとは知りませんでした。
時間を忘れてアートだけやってる、
研究して研鑽して自分の作品を磨いていくことばっかり考えてる、
そんな生活に少し戻りたくなりました。
それはそれで、終わりのない探求なので苦しいのだけど、
少し離れてその世界を垣間見ると、あの緊迫した、がむしゃらな、それでも飢えてる、
そして作っていく、学んで自分が成長していく面白さの過程が懐かしくなります。
展覧会から帰ってきて、静かな家でひとり。
楽譜をひっぱりだしてきて、たどたどしくドビュッシーを弾いて、
自分にがっかりして(長く弾いていないから、ろくに弾けないのは当然なのだけど)
ドビュッシーのCDをかけて、寝っ転がってパリの街並みを思う。
あの光がきらきらと、やわらかい様子。
パリの場末。
フランスの田舎。
フランス文学。
ドガが絵がいた、踊り子たちのバレエスタジオのにおい。
そしてドビュッシーの曲と格闘していた自分の音楽学生時代をおもう。
ここ東京ではない、心の世界のどこかを旅する。
アートって素晴らしい。
by totoatsuko
| 2012-08-26 22:58
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