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カウンセリング@代々木上原・音楽療法・心理療法 GIM

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祈る - そして心理療法と両義性

私の専門分野であるGuided Imagery and Music (GIM - 音楽心理療法の分野の一つ)の基礎を作った人が昨夜亡くなったしらせ。

Her daughter Bea Bonny Stoner, wrote this about Helen:

"She anticipates the next life with deep faith and a sense of empowerment in being able to move on. And so she expresses joy fulfillment, as well as peace.... She has enjoyed 89th birthday cards and messages of gratitude and love from so many and feels well connected with all of us. We invite only your prayers/meditations for her smooth transition to the place her Spirit yearns to be."

ヘレンの娘の言葉が心に響く。
her smooth transition to the place her spirit yearns to be...

ヘレンには会ったことがない。
私がアメリカにいたときは、フロリダでもう隠居生活していた。

89歳。
彼女が作ったものが、世界に広がり、私の一部として流れていて、でも、彼女の魂は昨夜その肉体をはなれ、今どこかへ移行していっているのだろう。まだ、彼女の魂はこちらの世界に繋がっている感じがする。
涙が頬をつたう。

新年早々、親友を失ったのをはじめに、今年はまだ半年もたっていないのにいろんなことが起こる。
私にとって、浄化プロセス & transformation を行う年なのだろうか?

すべては繋がっている。
すべてに意味がある。
あとからしか、それは見えない場合がおおいけど。

クライアントは言う。
どうしてこんな辛いことに遭遇しなくてはならないのか、と
その意味が分からない、というのが加圧して、ヘルプレスに感じる。
一歩さきも暗闇で、光がみえなくて、手探りで。

初めての場所を、地図もなく歩くというのは、とても不安なものだ。
どこか初めての場所に行くとき、例え地図を持っていても、道のりがとても遠く感じられるものだ。

そんなとき、昔語り継がれてきた神話や昔話のストーリーに主人公のヒーローに、自分を見出すことが出来たら、ストーリーに苦しみを乗り越える知恵やモデルを見つけるのは、おおきな励みになる。

そんなとき、セラピーを受けていると、セラピストは一緒にその暗闇で手をつないでいてくれる。
先人がたどった、踏み鳴らしてくれた道を、心の深いレベルで発見するのを手助けしてくれる。
ただ「物語」や「武勇伝」や「歴史」を読んで、ふーーーん、とスルーさせるのではなく、そのストーリーの感情レベルまでリンクする手助け。

痛みが闇が、それ自体が自分の中で何かに変わっていくプロセスを、
自分ひとりでは辛すぎて待てなかったり、自虐的になって、折角の変容のチャンスを殺してしまわないよう、
セラピーのプロセスは助けてくれる。

サイコセラピーは、問題を直したり、解明するのが、目的ではない。
そういうことは、プロセスの過程で起こるかもしれないが、
クライアントが人生の過程を自分自身で「発見的」に歩むチョイスを提示すること。

以下は、徳田 完二氏の 心理療法と両義性、という論文より抜粋 ()は私の注。
自分ではどうにもならない問いが、自分の力でどうにかなりそうな問いに変化すること、
すなわち、「答えの獲得」ではなく「問いの変容」を目的としたものだといえるのではなかろうか?
悩みをなくしたいと望んで心理療法を求めるクライアントは少なくないが、悩みをなくすというよりも悩み悩みやすい形に変容させるのが心理療法の実態であり、治療者の役割は、クラインとの問いがクライアント自らの力で問えるような形になるまで〔何が自分の悩みを起こしているのか? 何に自分は悩み、何に自分hの心は苦しめられているのか、というのをひとつ深い意識のレベルで把握する〕クライアントに付き合うことだ、といえるかもしれない。

このように、心理療法における「答え」とは新たな「問い」である、ということもまた両義的な事態といえよう。

生きている限り問いから逃れることはできない。
そして治療者もまた心理療法とは何かをめぐって発見的に歩みつづけなければならないのであろう。ただ、それによってもたらされる発見は、新規な理論や技法の創出につながるものであるよりはむしろ、あたりまえのことの再発見や再認識であることのほうがはるかに多いかもしれないのだがー。
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ヘレンは亡くなった。しかし、亡くなることによって、より一層GIMコミュニティーには彼女の存在が強く印象つけられ、彼女の伝説が語りはじめられる。死にも両義性がある。
by totoatsuko | 2010-05-26 08:22 | Comments(0)
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音楽療法士(GIM)のつれづれ


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