リソースはここにある
彼は、アフリカ、南米などから日本にいたるまで、さまざまな種類と規模のコミュニティーの活性化を促進させるアドバイザー、ファシリテーターとして活躍している。
彼がいっていたのは、そのコミュニティーが例えばリーダーを必要としているとしたら、そういう人を外から連れてくるのではなく、そのコミュニティーを良く知っているコミュニティーメンバーの中でリーダーとなり得る可能性を持った人を探し、コミュニティーと一緒にそだてていくのが、うまくいく秘訣だ、ただし時間はかかる、でも一歩づつ大事にstep by step で進めていけば、確実にそのコミュニティーが必要とするリーダーが生まれるし、その副産物として、リーダーをサポートする人たちも、コミュニティーの中で育ち、コミュニティー全体の団結力も高まる、ということ。
地元に基づいたコミュニティーでは、会社と比べて、人々の文化、土地への執着、からみあう感情がものすごく強いから、外から人を連れてきて、首をすぱすぱ切ってがらっとかえる、というのはワークしないのだと。だって、きられた土着の人は、行くところが無い、し故郷に戻りたい、という気持ちは戦争だって起こしうるから。
会社に首を切られるのはつらいが、故郷を失うのとではわけが違う。
会社は故郷ではないから、他だって探せる。
その故郷はそこにしかない。
音楽心理療法にきて、とにかくこの辛い状態を直して欲しい、といわれることがあって、そういう時、私はいつも謝る。「ごめんなさい、私には誰かを治す、なんておおそれたことは出来ないのです。あなたのことを大して知らないし、知りうることができないのに。」
例えば、人間の意識・心・Self があって、4パーセントしか把握していないとしよう。
〔この数字は、人間は今のところ宇宙の4パーセントのことしか分かっていない、という事実から便宜的に借りている。〕
自分自身がそうなのだから、他人の私にそれ以上のものが見えるはずがない。
ましてや、残りの96パーセント、4パーセントに裏から働きかけてその人の行動に多大な影響を与えているものを、アルミを曲げるように自在に変化させられるわけが無い。そもそも、そんなことをするような専門的なトレーニングを受けてはいない。
できるのは、その人が94パーセントの何パーセントかに気づくお手伝いをすることである。
未知の94パーセントには眠っている。金鉱のイメージ。自分で自分のバランスを良くする、今の自分をよくするために必要なきらめく要素は必ず存在するのだから。
例えば、転職したり、引越ししたり、髪型を変えたり、目に見える変化によって、自分の人生に変化をもたらすこともできるだろう。でも、自分の中に眠っている金やダイヤを発掘するすこし骨が折れる作業をとおして得た、見つけた自分の要素は、永遠にその後の人生に波紋を投げ続け、次の波紋につなげていく、自分の内側から。
新しい髪形も、新しい引越しも、新しい職場も、時がたてば慣れてきて、飽きたりする。
そうして、また新しいものをさがしていって、みつけて、リフレッシュして、チャレンジする。
しっかりした自分があったら、それも楽しめることができるだろう。趣味として。
でも、引越し続きの人生は、なかなか自分がやりたいことを究極的に深めることはできない。
もったいない。
自分自身が94パーセント分の、一生かかっても解明することはできないであろうおおきな探検場所をすでに目の前に自分の中に用意してくれているのに。
いやいや、どういう風に人生をつくっていくかは、本人の自由だ。
私に、ある主のやり方に対してもったいない、という権利はない。
変わりたかったら、まず自分が自分たちがもっているリソースをもういちどしっかりみてみるべきだ、そこには必ず変化に必要なものが見つかる、 Bob Stiller はそういっていた。