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カウンセリング@代々木上原・音楽療法・心理療法 GIM

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音楽療法 と 音楽遊び 

音楽療法 と 音楽遊び _d0065558_23342558.jpg
音楽療法 あるいは、療育・セラピー など、
専門的な介入をするセッションだと名付けられて売られているサービスが、

本当に セラピーとしての機能を持っているのか・
セラピーとえる質のものなのか、は

何等かの”資格を持っている” という専門家の間でも議論が分かれる所だと思う。
そもそも、資格がある事だけでは、現実には質の保障にならない。


ましてや、音楽療法士 ではない人同士で、

音楽がセラピーの目的に沿って使われているか、
そのセッションが ”セラピー” といえるクオリティーなのか、
という議論をするのは、とても難しいことだと思う。

これはセラピーです、とシールが貼ってあるサービスを、
カレーパン とパッケージに書いてある中身を
そもそも、本当にそうだろうかか? とは疑わないと思う。
○○クリニック、って看板があったら、そこが病院だと疑わないのと同じように。

自分が知ってるカレーパンの味と違うけど、これもカレーパンて言うんだな、と思うとおもう。

音楽療法:セラピーや療育、と形容されるものと 音楽遊び:音楽教育 と形容されるものは、
決定的に違うのだけど・・・

その時間、楽しくすごせているように見えたら、あるいは、自分が楽しかった! と思ったら、
そのセッションに対してお金と時間を費やすことに満足・納得すると思う。

でも、それでは、何か別の習い事でもいいわけで、
今自分に必要な目的のために専門家とのやり取りによって行われる ”セラピー” は
習い事とは別物だと私は思っています。


かくいう私のSpecial needs の子ども達とのセッションも、
リトミックみたいで楽しそうですね~、
と言われる事がありますが、
そういう時は、リトミックのクラスの一般的なサービスの目的と、
音楽療法、という専門領域の音の使い方の違いを、
出来る限り分かりやすい言葉で説明するよう心がけています。


セラピーって、相手の現状を 専門家としての視点でしっかりとらえ、短期・長期的な視点でみて、
今 専門的に介入するにあたって目標とする事、大事にすること、
取り組むべきことは何か理解しながら、相手の変化に寄り添いながら、
よりよい変化に、自分の専門性 ~音楽という道具と、人間に対する知識と経験、を使いながら寄り添う事。

”音楽を楽しむ” のが一義目的ではなく、
発達を促す、心理的プロセスを深める、リハビリの効果を上げる、などのために
音楽、という道具をつかっておこなわれる、というスタンスなのが、私が行っている音楽療法の考え方。

勿論、音楽を楽しむ、という経験は付随してくるけれど、
時には、辛い気持ちだって喚起されるプロセスも、もちろん当然のように起こってくる。
でも、それは、全て、短期・長期的にみて必要なプロセスだから、きちんと向かい消化していくことで変化につなげていくのが、療育であり、セラピーである、と思っています。

相手の表現することや、共有された音楽に対する洞察は、
掘れば掘るほどくらでも深く分析していくことが出来、それが次のセッションの内容や質に繋がる。

専門家であることは、一生 勉強をつづけることでもあります。

専門家としての器を育てること、
マニアックな世界、アカデミックな世界を、一般的に分かりやすくより多くの人に伝えていく力、
音楽療法の本質についての理解者を増やす力。


でも、それがしんどい、そんな違い、分からないよ、そこまでやらなくても文句言う人いないでしょ、
っていうスタンスじゃないと、なかなか世間には広がってはいかないのかもしれない。


誰でもつくれる、パッケージ化されたそこそこ美味しいファミレスのほうが、店舗は全国に広がれる。
知識や経験が積まれてない人の働く場も増えるし、
とにかくお腹がすいていて何でもいいから食べたい、というお客さんのニーズに応える事もできる。

しかし、熟練の料理人の味にはマニュアルがないから、真似事で再現する事が出来ない。
当然、ピラミッドの先端のように、知識と経験を持つ人の数は、少ない。

いや、でも、世界には熟練の医師たち、法律家、ビジネスマンたち、音楽家など
それぞれの分野で職人芸ができる専門家達がたくさん たくさん活躍している。
少なくとも、決められたスタンダードが、ある一定の質を満たしていると思う。
(事情が分かっている人は、その中でもより”いい人”を選んでいく傾向にあるけれど)

医師並みの質の教育と実習があって医師としてのスタートラインに立つ、
それから一人前になるために研鑽を積んでいく、というような過程を
今の日本の音楽療法業界がおかれている状況の中で整備する、というのが難しいのは分かる。
なんとかしなければ、と思っている人たちはたくさんいるけど、
私自身、まだまだ動けていないです。

私の人生のこのステージで、今の私にできることは、
与えられた機会の中でよりよいセッションを重ね
音楽心理療法士としての知識と経験を周りの人と共有し、高めあい、
クライアントの方々のプロセスのために丁寧に貢献していく事だと思っています。
by totoatsuko | 2014-02-19 20:20 | 音楽療法セッション例 | Comments(1)
Commented at 2014-02-26 23:04 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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音楽療法士(GIM)のつれづれ


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